<教えて!たなえり先生>#26- 訪問着と附下の違いって何?

こんにちは、多奈ゑりきもの教室のたなえりです。

今日は「見分けかたがよく分からない」

と聞くことの多い訪問着と附下(付け下げ)の見分けかたについて、私なりの解釈を含めイラストを使ってお伝えしたいと思います。

「訪問着」と「附下」、

現在ではセミフォーマルの着物として着る機会の多い着物ですが、家にある着物がどちらなのかよく分からないってことありませんか?

私も嫁入り着物として持たされたのですが、その時は言われるがままに(たとう紙に着物の種類が書かれているというあるある)認識していました。

当時はその他の着物(小紋や紬)に関しても何となくは分かっていたけど、分類の方法をちゃんと理解できていたわけではありません。なので、みなさんも安心してください!(笑)

ではいくつかの視点で見分けかたをみていきましょう。

仕立て上がり着物の見分けかた

まずはいただきものやリサイクルで買った場合など、すでに着物の形になっている場合の見分けかたです。

確認する箇所は主に上半身と下半身がどのように柄付けされているかを見ます。

訪問着(左)の上半身は衿から肩、左袖にかけて縫い目をまたいで柄が繋がっています。(右の背中部分も同様)

附下(右)も同様に衿、肩、左袖に柄が入っていますが、縫い目には柄が入らず、柄が飛んで入っているケースが多いです。

次に下半身の裾の部分。訪問着(左)は上半身と同じように縫い目をまたいで柄が繋がりますが、附下(右)は衽と前身ごろは柄が繋がっているケースが多いですが、脇や背中心の部分は縫い目をまたがず、柄が飛んでいるケースが多いです。

制作行程の違い

以下は制作の行程を簡単にイラストにしたものです。

訪問着は反物を裁断し、着物の形に仮縫い後、縫い目部分で柄が繋がるように下絵を描き、その後一度ほどいて染め、再度着物の状態に仮縫いして(仮絵羽)店頭に並びます。

それに対して附下は反物を裁断せずにそのまま下絵を描いて染めていきます。ですので、店頭に並ぶ時は反物の状態になっている※ことが多いです。(※仮絵羽になっている附下も時にはありますが…。)

曖昧なものもあります

ときに「附下訪問着」や「附下小紋」という言葉を聞くこともあるでしょう。前者の「附下訪問着」は附下と訪問着の中間的な柄付けのもの(附下にしては華やか、訪問着にしては地味、柄が繋がっていたり繋がっていなかったり)や場合によっては前述の衽と前身ごろの柄が繋がっているような着物のことを呼ぶことが多いようです。

後者の「附下小紋」は下記のイラストのように全体的に小紋のようにパターンで柄が入っているけど、すべて柄が上を向いている着物ことを呼びます。

入卒式時の着物としてももちろんですが、(袋帯のようにボリュームのある)名古屋帯もコーディネートできる附下、汎用性の高さから色無地同様、現代の着物ライフにぴったりな着物とも言えるのではないでしょうか?

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