<教えて!たなえり先生>#67-みんなどうしてる?サイズ違いの『長襦袢』攻略法
こんにちは、多奈ゑりきもの教室のたなえりです。今回は着物と襦袢のサイズの合わせ方や、サイズが合わない場合の対処方法などのお話です。
実は着物より重要!襦袢のサイズの見かた
襦袢のサイズは基本的に着物寸法からの割り出しで決まります。特に重要なのが裄と袖丈と身幅、長襦袢の場合はさらに身丈です。
①裄
裄は肩幅と袖幅に分けられ、肩幅は着物と同寸になります。袖幅は着物の袖幅よりも少し(2分=0.75cm)短めが基本です。
襦袢の裄が長いと着物の袖口から襦袢が出てきてしまいます。(サイズによっては脇の部分の襦袢も出てくる場合もあります。)
「襦袢の裄が短い」と言っても袖幅だけが短いのであれば大丈夫ですが、肩幅も短いと下図のように着物の振りから襦袢の袖が見えてしまうので要注意です。
②袖丈
袖丈は着物寸法と同寸、もしくは少し(2分=0.75cm)短いと襦袢の袖底が着物に触れて、襦袢の振り部分が着物から出にくくなります。
襦袢の袖丈が短すぎると、裄が合っていたとしても着物の振りから襦袢の袖が出やすくなります。
③身幅
身幅は着物の着姿を決める衿合わせに大きく関わる寸法です。衿の角度が鋭角になりすぎる場合や襦袢の衿が開きやすい場合は、身体に対して襦袢が小さい可能性があります。
襦袢の後幅は着物よりも5分(約1.9cm)広め、前幅は1寸(約3.8cm)広めで作るのが一般的とされています。着物よりもより身幅が広く作られているので、着物よりもしっかりと深く衿合わせができるようになっているのです。
思うように衣紋が抜けなかったり衿の角度が作れない場合は、半襦袢にしてみるというのもひとつの方法です。
④身丈
長襦袢の場合、身丈が身長に合っていることも重要になります。着た時に裾が足袋の上端線あたりまであればOKです。
夏物など透ける着物を着る時はさらに長めで、くるぶしが隠れるくらいの長さがあると透けて脚がニョキっと見えることもありません。
襦袢のタイプ別の選び方はこちらのコラムもご参照ください!
サイズが合わない時の対処方法
①裄
襦袢の裄を短くする時、オススメ方法としては着る前に襦袢の肩山の部分をつまみ安全ピンで留めておきます。
肩山でつまむこととで、実際に裄を短くしたようになるので袖口から襦袢が出てこなくなります。
着物を着てしまった後だと肩で留める事が難しくなりますので、その場合は袖の真ん中あたりの袖山部分をつまんで安全ピンで留めてみましょう。
②袖丈
袖丈が少し(4cmくらいまで)長い場合は、底部分を折り畳んで着物の中に入れる方法でOKです。
逆に短いと前述のように振りから出やすくなりますので、袖丈が短い場合や裄が短くくて振り部分が出てしまう場合は、襦袢の振り部分を三角に折り畳んで安全ピンで留めてみてください。
③身幅
襦袢の身幅が狭い場合ですが、まず半襦袢の場合は脇の下の“馬乗り”という部分を少しほどいてみましょう。
衿の可動域が広がり、衿合わせがしやすくなります。
長襦袢の場合は衿の部分に一枚布(三河衿芯)を縫い付けて、着物のような広衿にリメイクすると疑似的に身幅を広くできます。
リメイクと聞くと難しく感じますが、上から三河衿芯を縫い付けるだけですので、比較的簡単で安価にできます。
実際の縫い方などの詳細はインスタライブのアーカイブをご覧ください。
2021年3月17日インスタライブ
「バチ衿の襦袢を広バチ衿にリメイクしてたっぷり半衿をめざす」
④長襦袢の身丈
長襦袢の身丈は本来揚げ(ウエスト部分の縫い込み)部分で調整しますが、私は応急処置として裾を折って縫い揚げをしています。
約4cm縫い揚げた結果がこちら
絹の襦袢の時は手縫いで縫い上げをしたりもしてます。
この方法だと手っ取り早く長さが調整できるのでオススメです。
また、短い襦袢の時は裾にレースを付けたりして加工したこともあります。ご参考まで!
5月17日に発表されたキモノモダンの新作長襦袢では、SMLのマイサイズオーダーができるようになりました!自分のサイズにあった長襦袢で理想の着姿を手に入れてください。
おまけ・着物の身丈が合わない時の対処方法
①着物身丈が短い時
着物の身丈が短い時は腰紐を締める位置を少し下にしてみるという一番ベーシックな対処方法がありますが、それでも長さが足りない時は使う腰紐を細いものに変えると、さらにもう少し長さを出すことができます。
②着物の身丈が長い時
おはしょりが長すぎる場合はこちらのコラムをご参照ください!