<教えて!たなえり先生>#62-お太鼓の柄出しポイント
こんにちは、多奈ゑりきもの教室のたなえりです。かしこまったお出かけの多くなるこの季節、そんな時に結ぶことの多いお太鼓結びですが、今日はその柄の出し方についてのお話です。
帯の構造
まずそれぞれの帯の構造と柄の位置についてみていきましょう。
最近の名古屋帯の長さは360〜380cmくらいが主流ですが、実はお太鼓になる部分の長さというのは昔から大きく変わっておらず、どちらかというと、身体に巻く部分の長さが帯の長さと言えます。
名古屋帯の場合、お太鼓になる部分の長さは約114cmとなります。
なので、少し時代の古い短い帯などはお太鼓の部分の長さをキープできれば、きれいに柄を出すことができます。(その分テ先が短くはなりますが…)
お太鼓(ポイント)柄の場合、前の柄(腹前)とお太鼓の柄の間隔おおよそ約98cmくらいですが、製作された時代やメーカーによってこの間隔が広かったり狭かったりする場合もあります。
名古屋帯の帯の形(仕立て方)が変わっても柄の位置に変わりはありません。
袋帯も同様にお太鼓になる部分の長さはほぼ変わりがないのですが、名古屋帯のようにはっきりとお太鼓になる部分のスタート位置が明確ではないので、袋帯の場合はクリップなので目印を付けておくと分かりやすいです。
前と後ろ柄の位置について
帯の構造が分かったところで、今度は実際に帯を結んだ時の柄の位置について考えてみましょう。一般的には前の柄(腹前)の位置はやや左側がよいと言われていますが、柄によっては真ん中が良いデザインもあるので、帯の柄の雰囲気で前の位置を決めてもよいでしょう。
しかし、どうしても帯の長さや柄の間隔の都合で思うように前の柄(腹前)の位置が希望のところに出ない場合もあるかと思います。(帯が長すぎる場合は調整可能ですが、短い場合はどこかをあきらめるしかありません…)
その場合は、左右のバストトップの間内に柄が収まればOKとしましょう。
次にお太鼓部分の柄の位置についてですが、例えば下記のイラストのように鳥が飛んでいるような柄であれば、お太鼓の柄の位置は真ん中からやや上寄りの方が柄に合っていると思います。
逆に水面や地平線などが描かれているような柄であれば、真ん中からやや下寄りの方が柄の雰囲気に合っていると思うので、どのように見せたいか考えながら位置を決めてもよいでしょう。
結ぶ時に見極める
では、実際に結ぶ時にどのタイミングで確認するとするとうまく柄を出すことができるのか?帯の結び方(捻じるor捻じらない)にもよりますが、帯を巻く時に調整する方法と結ぶ前に事前に測っておく方法があります。
帯を実際に巻いた時(右から左に巻く関東巻きの場合)、二巻き終わった時に縫い留まり(名古屋仕立ての場合は帯の幅が広くなるところ)が背中の中心からやや右寄りにあればお太鼓の柄が出せる長さがキープできているということになります。(松葉仕立てやかがり仕立ての場合は帯地が一重と二重の境目の縫い目があります。)
捻じる結び方の場合は捻じる分長さがとられるので、もう少し右寄りにくるくらいがよいでしょう。
袋帯の場合は一巻き目が終わった時に柄留まり(無地から柄が始まるところ)が背中の中心あたりにきているとだいたいうまくいきます。(六通帯の場合)
全通(無地の部分がない帯)の場合は柄留まりの目印がないので、前述のようにお太鼓が始まる部分にクリップを付けておき、名古屋帯同様二巻き終わった時にクリップが背中の中心からやや右寄りにあれば柄が出せる長さがキープできます。
帯枕を上げる直前でも柄がきちんと出るかどうか確認できます。名古屋帯・袋帯共通になりますが、帯枕を上げる前に出したい柄の位置が、お尻の下あたりからひざ裏内にあれば柄が出やすくなります。
お太鼓が苦手な方にオススメ
どうしてもお太鼓結びが苦手だったり、柄出しが思うようにいかない時はキモノモダンの「切らずに作る作り帯」サービスを利用してみるのもひとつの方法です。
キモノモダンの作り帯サービスは名前の通り帯をカットすることなく作り帯にするので、元のかたち(通常の帯のかたち)に戻すこともできます。
結びにくい帯や柄出しで悩む帯などは時短にもつながりますので、ぜひお試しください!