<教えて!たなえり先生>#54-綿麻着物ブームの背景
こんにちは、多奈ゑりきもの教室のたなえりです。今日はここ数年でぐんと選択肢が増えた綿麻の着物についてのお話です。
綿麻着物って?
綿麻着物とは綿と麻の混紡生地の着物のことで、綿の柔らかさと麻の軽さや通気性の良さが合わさったいいとこ取りの着物です。
ひとことで綿麻と言っても割合が50%ずつのものや綿70%、麻30%などいろいろな混紡率があります。麻の率が高くなるとよりシャリ感があり生地が硬めになるのが特徴です。
平織りやちぢみなど製造の方法によって生地の肌触りも変わってきます。ちぢみの場合、平織りに比べてしぼがある分、(袖の部分が)少しふんわりとしているのがお分かりいただけるかと思います。
綿麻着物のメリット
綿麻着物のメリットはズバリ着る季節の長さではないでしょうか。
綿100%のものだと厚地や中厚地であれば真夏以外の3シーズン、薄地であれば真冬以外の3シーズン着ることができますが、いくら薄地の木綿であってもゆかたほど薄地のものは少なく、真夏の時期では暑く感じることもあります。
その点綿麻着物であれば、薄地の木綿きもの同様真冬以外の3シーズン着ることができ、さらに真夏の時期でも綿100%の着物に比べて快適に着ることができ、襦袢なしのゆかたスタイルでも楽しむことができます。
産地別綿麻着物
木綿や麻の着物の産地で綿麻着物の生産を行なっているのは
- 米沢木綿
- 伊勢木綿
- 久留米絣
- 小千谷ちぢみ
- 近江ちぢみ
などです。上記産地以外でもブランドによっては綿麻の洋服地を使った着物や久留米絣で麻100%のきものなどもあります。
まとめ
最近では5月くらいから30度を超える日が多く、特に真夏となると35度以上になることや、カジュアルの着物において夏ものを着るシーズンが長くなったこと(カジュアルにおいて季節のルールがゆるやかになったこと)で、綿麻着物の需要が増えたと言えるのではないでしょうか?
カジュアルの着物の場合、年間通して長く着られる着物がとても便利です。産地にこだわなくても、ゆかたとして販売されているものの中にも綿麻素材というのはたくさんありますので、ゆかたらしくない色や柄を選ぶと、ゆかたとしても着物としても着ることができます。
これから暑さの本番を迎えますが、暑い時期も楽しく着物を着たいですよね。ぜひ綿麻着物で暑い夏を乗り切りましょう!