<教えて!たなえり先生>#32-9月の着物の選びかた

こんにちは、多奈ゑりきもの教室のたなえりです。立秋も過ぎ暦的には秋に入りましたが、まだまだ暑い日が続く9月。今日は悩ましい9月に着る着物や帯、小物の選びかたについてのお話です。

基本のルール

まずは一般的なルールのお話から。季節によって〝袷(あわせ)〟〝単衣(ひとえ)〟〝薄物(うすもの)〟を着分けていきますが、9月は単衣を着る季節となります。

単衣の着物は裏地がついてなく、透けない素材の着物のことです。着用時期は6月と9月となります。

こうして考えると単衣の着物を着るのは一年を通して2ヵ月間だけとなりますが、地域ごとにローカルルールが存在することも。

ちなみに私の住んでいる福岡は、5月の博多どんたく(5月3、4日に開催されるお祭り)過ぎたら単衣OK、放生会(9月12〜18日に筥崎八幡宮のお祭り)から単衣を着始めると言われています。(どんたくも放生会も博多祇園山笠と並んで博多三大まつりと言われています。)

上記のルールが適用されたとは言っても、多少単衣を着る季節が緩和されただけで、9月でも30℃を越える日があるのが昨今の日本の気候。昔からのルールだけでは着物を楽しもうって気分にもなりませんよね。

こういった昔からのルールや地方のルールを知った上で、自分なりに解釈して快適に着るものを選ぶのが現在の普段着着物の楽しみ方かなと思ってます。

実際のところ

では、私の場合のお話。9月になったら色や柄がゆかたらしいゆかた(例えば紺×白や白×紺、柄が大きめのもの、一目見て〝ゆかた〟という印象を与えるもの)は選ばず、柄が小さめで色使い抑え目で、ゆかたっぽく見えないゆかた、もしくは薄手の綿麻やリネンの着物をゆかたとして着たりしています。

薄物やゆかたスタイル(襦袢なし)で着るのは9月中旬くらいまでとは思ってますが、その年の気温によって9月末まで着てたこともあります。ただ、9月中旬を過ぎてもずっとゆかたスタイルという訳ではなく、その日の最高気温を参考に襦袢を着たり、着なかったりというところで調整してます。

着物の素材から選ぶ

9月に着る着物の素材としてオススメなのが、薄手の綿や綿麻、リネンといった素材の着物。涼しいけどゆかた感がなく襦袢ありなしでもどちらでも着ることができます。キモノモダンでご紹介しているリネンや夏キモノはどれも9月に着るのにオススメの着物です。

捺染ゆかた-シカクdrops
<楊柳 夏キモノ>和更紗
リネン着物ーエスニックSTRIPE

セオα(吸湿速乾のポリエステル)のゆかたも透け感があまりないので、夏だけでなく単衣の季節にも大活躍します。

ゆかた感ゼロのセオαのゆかた

9月の着物に合わせる帯や小物

9月に単衣を着た場合、帯や小物類は袷用のものをコーディネートするのが基本と言われています。その場合の帯は博多織のような生地の薄い透けない帯がオススメです。

薄地の博多織といえば、献上柄のような平地の帯が有名ですが、平地の帯には献上柄以外のものもいろいろあります。(ちなみに平地の博多織は一年中着用できます。)

献上柄以外の平地の博多織の帯

半衿も通常の透けないタイプのものでもよいですが、細いシボが特徴の楊柳やコットンレースなども気持ちよく身に付けられます。

バリエーション豊富なコットンレースの半衿

帯揚も楊柳や洋服地でできたものなどがオススメです。

しぼのある楊柳帯揚
【シースルー帯揚げ】幅狭- 楊柳ダイヤモンド

中身をカスタマイズ

9月に単衣を着た場合でも、中の襦袢を夏物やワンピ襦袢のように薄手のものを着ると調整できるので、どうしても暑い日に単衣を着る場合は中身で調整してみてくださいね。

いろいろ選べるワンピ襦袢

最後に単衣はいつまで着られる?というご質問をいただくことも多いですが、私は中身をコントロールしながら11月くらいまで着てます。最高気温が20℃を越えなくなったら袷です。www

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