現代キモノ用語解説

堅苦しいフォーマルやよそ行きではく、普段着の着物を着こなすために、これだけは知っておきたい「基本のキ」な用語集です。その中でも特に、キモノ初心者さんから多く寄せられるご質問と合わせて、KIMONO MODEN的用語集としてまとめてみました。

<あ行>

[い] 居敷当(いしきあて)

単衣や夏の着物などの腰から下あたりに、『補強』や『透け防止』のために縫い付けるあて布。

KIMONO MODERNでは全ての着物が単衣仕立てのため「付けた方がいの?」と迷われる方が多いです。
お茶のお稽古などでよほどたくさん立ったり座ったりしない方や、暑がりさんなんかは、付けなくても問題ありません。

KIMONOMODERNでご注文のお客様の9割は、居敷当を付けずにお仕立てしています。

[う]うそつき袖

表から見るとまるで襦袢を着ているように見える、取り外しできる「袖」のこと。

筒袖の半襦袢やワンピ襦袢に縫い付けたり、布用テープで取り付けて使用します。

長襦袢を何枚も持つ必要がなく、半襦袢1枚あれば袖だけを変えてお袖だけカラフルにコーディネートを楽しむことができます。おすすめは襦袢ではなく、着物に合うお袖を直接着物にとりつけること。お洗濯の時やイメチェンの時に、半襦袢から袖を取りはずす手間が省けます。

うそつき袖ページ

<か行>

[き]着丈身丈

着丈は、”着物を着た時”の肩山から裾までの長さ。なので”着”丈。お端折りの長さを含みません。

身丈は、着物を広げた時の肩山(背中心)から裾までの長さ。お端折りの長さを含むので、着丈より頭ひとつ分くらい(=お端折り寸法、約20-30cm)身丈の方が長くなります。基本的に「身丈=身長」なので、身丈は?と聞かれたら自分の身長を答えておけば大丈夫です。

[き] 京袋帯(=開き名古屋・袋名古屋)

袋帯(430cm)の短い版で、長さは名古屋帯と同じ(360-380cm)袋名古屋、開き名古屋とも言われます。名古屋帯のように、半分にかがっておらず、袋状に平らに仕立ててあります。
京袋帯ページ

[く] 繰り越し

着物や襦袢の衿肩あきを肩山より後ろにずらすこと。

この具合により衿の抜き加減が変わります。一般的には「くりこし8分」と言われますが、衿を美しくきれいに抜きやすいように、KIMONO MODERNのサイズでは『繰越=1寸』を採用しています。

<さ行>

[す]  すん

着物などの和装生地に用いられる単位を『鯨尺』といい、1寸=約3.788㎝となります。お分かりの通り、寸はぴったり㎝では表せません。現在の袖丈の一般的な長さでいうと、1尺3寸=49.2424…㎝と、多少のずれがあります。

袖丈は1尺3寸、おくみ幅4寸5分、など基本的に共通サイズもありますが、無理に計算してわざわざ「尺寸」でサイズを伝えず、「cm」で全然問題ありません。

また、着物のお仕立てはじめての方は「身丈(=身長)、3サイズ、裄丈」この3つで大丈夫。お仕立ての後、ご希望があればあなたの詳しい着物サイズを「鯨尺」でお伝えしますのでお気軽にお声掛けください。

<た行>

[つ]筒袖

着物の袖では無い(=袂(たもと)の部分が無い)、半袖のような形をした袖のこと。

基本、着物と襦袢の寸法があっていないと、袖が振りから飛び出してしまいます。ですが、筒袖の襦袢だと、お譲りの着物やサイズの合わない着物であっても、そのようなトラブルを防ぐことができます。

一般的に、フォーマルや透け感の紗や絽の着物には、袖のついた長襦袢を着用しますが、普段着の着物でしたら襦袢の袖がなくてもOK、筒袖でも問題はありません。そのような理由から、余計な気遣いや心配をせずストレスなく着物を楽しめるよう、KIMONO MODERNの半襦袢は筒袖を採用しており、長襦袢も筒袖タイプの「ワンピ襦袢(KIMONO MODERNオリジナル)」をご提供しています。

▷ 半襦袢ページ
ワンピ襦袢ページ

<は行>

[ぷ] プレタ

仕立て上がりの状態で販売されてる着物や浴衣のこと。「吊るしの浴衣」なんて言ったりもします。浴衣コーナーに並んでいるようにハンガーにかけられて(吊るされて)販売されている様子を指しています。

着物は通常、ご注文後、反物(生地)からご希望サイズにお仕立てしてお客様へお届けするという、過剰に在庫を持たないエコシステムでした。KIMONO MODERNも2020年ごろから「本来あるべき、着物の生産と販売の姿」に原点回帰しています。

<ま行>

[む] 無双 むそう

長襦袢の仕立ての一種。『無双』は、長襦袢のお袖を、表と裏で同じ生地を2枚縫い合わせて仕立てます。

<合わせて知りたい>半無双 はんむそう

見える部分のみ無双仕立て、見えない部分は単衣仕立て。

[み]水通し

仕立てる前の反物を水に通して、縮まるところまで縮める加工のこと。綿や麻などの天然繊維は水通しをしてから仕立てることで、お家でお洗濯したときに大きく縮みにくくなります。

また、デニム着物や藍染の着物も、お仕立て前に水通しをすることで余計な染料をあらかじめ落とし、その後のお洗濯の際の色落ちを最小限にする効果があります。KIMONO MODERNのデニム着物は、お仕立て前に水通し(ワンウオッシュ加工)をして仕上げています(レース着物は、縮みにくい素材を使用しているので水通し不要です)

反物類は、オプションで水通し加工をつけることをおすすめいたします。

<や行>

[ゆ] ゆき

背中心から袖口(手首の骨あたり)までの長さ。肩幅と袖幅を足した幅。

【参考文献】
株式会社池田書店発行・大久保信子監修
『伝統を知り、今様に着る 着物の事典』
2021年10月25日発行